県内たばこ店廃業相次ぐ タスポ普及低迷が影響
たばこ自動販売機の成人識別カード「taspo(タスポ)」の運用が始まった2008年以降、県内でたばこを販売する店舗が相次ぎ姿を消している。九州財務局(熊本市)によると、08年だけで前年比約1・5倍の214店が廃業を届け出た。健康志向の高まりや喫煙に対する規制などで厳しい経営が続くたばこ店に、タスポの普及低迷が追い打ちをかけている。
https://kumanichi.com/news/local/main/20091019002.shtml
県内のたばこ小売販売店は5289店(09年3月末現在)。同局に届け出があった廃業件数は06年153店、07年144店だったが、08年は一気に200店を突破。09年は9月末時点で157店と、既に06、07年を上回っている。
廃業増加について同局理財課は「たばこを扱うコンビニの新規出店は相次いでいるが、それを上回るペースで中小たばこ店の廃業が増えている。廃業理由にタスポを挙げる店も少なくない」とみる。
県内の推計喫煙人口に対するタスポ普及率(日本たばこ産業調べ)は、今年9月26日現在で35・3%。全国平均の36・3%を下回っている。喫煙者には「作成や携帯が面倒。個人情報の流出も心配」といった“敬遠論”も根強く、自販機離れした顧客はタスポが不要な対面販売のコンビニなどに流れている。
タスポ対応機への改造費が1台約10万円かかるのも影響している。古い年式のものは買い替えを余儀なくされる場合もあり、「数十万円の投資をあきらめて廃業を選んだ店もあるようだ」と同課。
そうした状況を裏付けるように、たばこ自販機の台数も減少。08年5月時点で県内に6395台あった自販機は09年8月末までに約300台撤去された。
熊本市中心部のたばこ専門店の女性(81)は「自販機だけでなく店売りの客もめっきり減った。1日のもうけが数百円のときもあり、貯金と年金に頼らないと生活できない。いつまで持ちこたえられるか不安」と語る。
熊本、大分両県の中小たばこ店でつくる九州中部たばこ販売協同組合連合会の森田政彦会長(91)=同市=は「未成年者への喫煙防止策として、自販機の禁止を日本に求める国際的な流れの中、タスポ導入は自販機売り上げに頼る中小たばこ店を守る苦渋の選択だった」と説明。今後については「タスポの普及活動や店売りの利便性向上策などを強化し、厳しい状況を乗り越えたい」と話している。(川崎浩平)
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