宮崎・鹿児島タスポ導入 成人識別の効果は? 普及まだ1割、借用も
未成年者の喫煙を防ぐため、自動販売機でたばこを買う際に成人かどうかを識別するカード「taspo」(タスポ)。全国に先駆けて1日、鹿児島、宮崎両県内で導入され、ほぼすべての自販機で、カードがないと購入できなくなった。九州の他県でも5月までに導入される。とはいえ、普及は進まず、自販機設置店の間では売り上げ減少への不安が渦巻く。効果についても疑問の声が上がっている。 (鹿児島総局・湯之前八州)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/kyushu/20080302/20080302_001.shtml
「きょうからだったか」。1日午前10時半、鹿児島市の鹿児島中央駅前。1000円札を入れても反応しない自販機の前で、男性(30)は舌打ちした。タスポは持たず、申し込むつもりもない。「たばこを買うぐらいで、なぜ身元を明かす必要があるのか」。今後は、24時間店内で買えるコンビニを利用するという。
同市西田で自販機を置く女性(85)は、売り上げが大幅に減ると予測する。60年続くたばこ店も営むが、交代の従業員がおらず開店は昼間だけで、販売の大半は自販機に頼る。自分で申し込んだカードを見せて客に勧めても反応は芳しくない。「結局客をコンビニに奪われ、弱い店は切り捨てられる」と吐き捨てるように言った。
■「手続き面倒」
鹿児島、宮崎両県では昨年12月から全域で申し込みが始まったが、タスポを発行する日本たばこ協会の調べでは普及率はまだ1割強。2004年5月に試験導入された鹿児島県・種子島では、島の喫煙人口約8000人のうち、カード所持者は半数にとどまっている。
普及が進まない理由について、協会は「手続きを面倒に思ったり、個人情報の漏洩(ろうえい)を心配したりする愛煙家が多いため」と分析。この日、宮崎市内の自販機でタスポを使ってたばこを買った会社員男性(31)は「個人情報が掲載されているので、カードを紛失したときが怖い」と不満げだった。
一方、協会によると、喫煙で種子島署に補導された未成年は、導入前の1年間が35件。導入後は1年目が27件、2年目が14件と減少したが、3年目は93件に急増した。「先輩にカードを借りた」と話す少年もいたという。島内のたばこ店主の男性(62)は「狙い通りの効果もないのに、売り上げだけが減った。タスポっていったい何なのか」と憤る。
■対面販売に力
こうした中、導入を逆手に攻勢をかけるしたたかな業者も現れた。
鹿児島市中央町のたばこ専門店「エフアンドエム」は1日午前、店の前で外国たばこのワゴンセールを仕掛けた。タスポ開始に合わせ、対面販売が増えるとみて攻勢に出たのだ。
鹿児島、宮崎両県に自販機を200台展開していたが半数を撤去。一方で、店を改装して売り場を倍に広げ、世界のたばこ2000種を並べた。近く支店を出す計画も進めている。「導入された以上、手をこまねいているわけにはいかない。戦略を変えて商機につなげたい」と山元紀雄店長(57)は意気込んでいる。
=2008/03/02付 西日本新聞朝刊=
2008年03月02日00時03分
スポンサードリンク